こんにちは!今日は全国の中で多くの医学部が設置し始めた「MD研究者育成プログラム」について解説します!
近年の医学部入試では研究者を欲する大学も多く、このプログラムの存在を知っていれば面接でアピールできること間違いなし!
それではさっそく見ていきましょう!
MD研究者育成プログラムとは??
MD研究者育成プログラムは、文字通り
「MD(医学部を卒業した人につく肩書)」である
「研究者」を
「育成」する
「プログラム」で、
MD研究者(Scientist)育成(Training)プログラム(Program)の頭文字をとって「MDSTP」や、最終的な育成を目指す医学博士の肩書であるPhD.を用いて「MDPHDコース」などと呼ばれたりします。
このプログラムでは、医学部の講義を受けつつ、放課後に大学にある研究室に通い、そこで研究をさせてもらうという活動がメインとなります。つまり、放課後の部活のような感覚で研究をする、ということですね。
通常、1年生の段階で大学にある研究室の紹介が医学生にされ、2年生の後期から自らが希望する研究室での研究生活がスタートします。
私の友達でも、免疫学、ウィルス学、遺伝学、生物工学、脳科学、データサイエンスなど様々な分野の研究室で研究に励んでいます!
ここから主に6年生まで研究を行い、研究で一定の成果を修められるよう取り組みます。もちろんこれは学生にもよりますが、NatureやScienceなどの有名な雑誌に学部生でありながら論文が掲載された人も中にはいますが、たいていの学生は1つのプロジェクトの完成が見えるタイミングで論文にはできず終わってしまう場合が多いです。医学生って、学年が上がれば上がるほど忙しいですからね。仕方がないですね。
研究を発表したり、ほかの大学のMD研究者育成プログラムに参加している学生と交流する企画なども組まれていたりしますから、人脈も広がったりして面白いですよ。
まとめると、MD研究者育成プログラムは、
「課外活動として医学の本格的な研究を行い、研究者としての手腕を磨く」
プログラムです。
ですので、医学部に通いながら研究をしてみたい!と思う人にとってはもってこいのプログラムというわけですね!
また、一部の大学では医学部を休学する形で、研究に専念できるタイミングを設けるようなカリキュラム編成を行っている大学もあるようです。
この場合、大学院に進学する形となり、論文をまとめて学位をとると復学し、医学部の卒業を目指すというものなのだそうです。医学部を休学する前の単位はすべて取ったままで復学ができるので、休学する前のタイミングから医学部の勉強を再開することができます。
もちろん、少数派ではありますが…。
MD研究者育成プログラムが設置された目的
では、そもそも、このプログラムはなぜ設置されているのでしょう?
それは、ずばり「医師免許を持った研究者がどんどん減少しているから」なのです。
この理由を説明するためには、少し細かい医学部のカリキュラムの説明をせねばなりません。飛ばしたい方はどうぞ飛ばしてください。
通常、医学部医学科に6年間通い、すべての単位を取り終え、卒業試験をパスすれば「医師国家試験」の受験資格が得られます。この後、2年間以上、「初期研修医」として病院に勤務しながら研修を行うことが、2004年から義務化されています。この「初期研修」が終わって初めて病院に正規の医師として勤務することができるようになります。しかしながら、ほとんどのお医者さんはこの段階で自分が「外科」になるのか「内科」になるのかを選択し、「後期研修」に進んでいきます。詳しいことは割愛しますが、要するに、お医者さんは医学部を卒業した後も研修がずっと続いていくので、一人前になるためには非常に時間がかかる、ということです。
このような長い研修制度が義務化されていなかった時代には、ある意味「研究がしたい!」と思ったタイミングでお医者さんは研究に携わることができました。研修として必修のものがないわけですから、研究をしながらでも普通に勤務ができました。
しかし、研修が必修化されたため、安易に研究には携われなくなりました。やっと一人前になったとしても、もう医学部を卒業してからとうと10年弱たっており、研究の手法もよくわからない。しかも、その年になれば医師としては経験も一定の割合で積むことができており、医者として脂がのっている時期。そのタイミングで大学院に入学しなおし、研究に進む人はほとんどいません。
このような状況を危惧した医学部がとった戦略は、
「鉄は熱いうちに打て!」
というもの。
長い研修期間の中で薄れてしまう研究への意欲。これを持って医学部に入ってきた学生には、いっそ研究に携わらせよう。経験を積ませよう。そして、その経験に免じて医学部の大学院に入りやすくして、研究者の道を可能な限り広げていこう。そんな思惑から始まったのが、このプログラムなのです。だって、研究して大学に残ってもらえなかったら、誰も研究してその大学で教授になれる人がいなくなっちゃいますもんね。医学部としても研究者確保は死活問題なわけです。
そう考えると、「研究医になりたいです!」「MD研究者育成プログラム、興味があります!」というアピールを医学部の面接ですることは、「医学部で勉強を頑張ります!」「研究を通じてこの医学部に貢献します!」という最強のアピールコンボになるわけですね。研究に少しでも興味を持っている医学部志望の受験生がいるのであれば、それを積極的にアピールすることをお勧めします!
MD研究者育成プログラムのメリット・デメリット
では、実際にMD研究者育成プログラムに参加するとどのようなメリットやデメリットがあるのかをご紹介します。
メリット
メリットとしては、まずはやはり好きな研究に没頭できる環境が準備されるということですね!
始めは不慣れですが、徐々にコツがわかってくると研究もどんどん楽しくなってきます。苦しいときも多いですが(笑)、周りの大学院生や先生たちもいろいろなことを教えてくれたり、時には議論ができたりしながら、その分野の最先端の研究に触れるのみならず、主体的にかかわることができるのは何事にも代えがたい楽しさがあります。
医学部のカリキュラムにおける試験でも、その分野においてはかなりの知識を持つことになるので、その分野の勉強も格段に楽になります(笑)。
あとは、医学部から研究への援助が得られるというのも大きいですね。
学会や研究会に参加するとき、その交通費や宿泊費がMDSTPの参加者に補助してくれる大学が多いです。
特に、大学によっては、自分の研究に関する学会であれば、発表をせずとも参加に関する金銭的援助がもらえることも!勉強に対して投資してもらえるということですね。これは大きい!詳しくは各大学の制度を確認してみましょう!
また、このような学びの機会を提供してくれることに積極的である医学部も多いので、地理的に近い大学での研究発表会や、大学内での勉強会なんかも開催されていたりします。先輩たちに勉強を教えてもらえたり、ほかの大学の面白い研究をしている医学生とも友達になれたりするので、そのような意味でも楽しいですね。
デメリット
一方で、MD研究者育成プログラムのデメリットとしては、他の活動に参加しにくくなることが1つあります。課外活動のようなものなので、どうしてもほかの部活動やアルバイトなどに参加する時間は、他の医学生に比べると少なくなってしまいます。
医学生は他の大学生に比べても忙しく、時間があまりないので、確かにそのような意味では少し物足りなさを感じてしまうかもしれません。
課外活動なのにも関わらず、多くの医学部では正規のプログラムに登録されているので、途中で取りやめようとするとそれなりに難しいものがあります。もちろん、「研究に向いていない」などといったことを気づくきっかけにもなるでしょうし、そのような理由であれば取りやめ自体は可能です。逆に考えれば、研究に対する適性が早い段階で判断できることは、逆にメリットともいえるかもしれませんね。真の適正は、真剣に取り組まねばわかりませんし。
他のデメリットがあるとすれば、研究分野に関係する試験のときに、その試験対策委員を任せられる可能性が高くなるぐらいですかね(笑)。
つまり、研究が好きなのであれば、特に参加に対するデメリットはありません。というか、大学側もなるべく参加のハードルが低くなるように配慮してくれている場合がほとんどです。
まとめ
今回は、医学部の「MD研究者育成プログラム」というカリキュラムについて解説しました。
長くなってしまいましたが、もしも研究に興味があって医学部の受験を考えている受験生がいらっしゃれば、このあたりは頭に入っていると面接とかでも有利になればな、と思って書きました。
MD研究者育成プログラムは、
- 医学部の特別な課外活動のようなカリキュラムで
- 医師免許を持った研究者を輩出するために
- 研究をはじめ、様々な支援を医学部が行う制度である
ということです!
参考までに、東大、京大、阪大の本プログラムのサイトを貼っておきます。詳しく知りたい方は是非ご覧ください!もちろん、ほかの大学でも実施していますよ!
東京大学: http://www.ut-mdres.umin.jp/index.html
京都大学: http://www.med.kyoto-u.ac.jp/e-project/mdresearcher/
大阪大学: http://www.edu.med.osaka-u.ac.jp/curriculum/curriculum2.html
それでは!
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