セルビアでワクチン接種すると給付金。なぜ問題なのか?

医学部・医学関連
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色々と日本でもお騒がせなワクチンですが、世界で一段と興味を引くニュースが飛び込んできました。

なんと、セルビアで、ワクチンを接種した人たちに対して25ユーロ支払う制度ができたというのです。

この記事を報告したのは、イギリスを拠点とする大手医学雑誌のLancet(ランセット)。独自の取材などを通じて世界の医療事情に関するニュースを速報しています。ほかの英米を拠点とする雑誌はあまり自国外のことを取り上げることもないのですが、Lancetはかねてより海外での情報に敏感に反応してきた老舗のジャーナルで、4大医学雑誌にも名を連ねます。

25ユーロとはセルビアの平均世帯月収の約5%だということで、日本の平均月収を35万円くらいだとすると、ざっくり1.8万円くらいです。たしかに大きいですね。ワクチンを嫌うような人でも「ちょっと打ってみようかな?」と思う人もいるはず。

じゃあいいことなのでは?

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そう簡単には物事は運ばないんですね。

懸念される問題点なども含めて、Lancetの原文に触れながら考えていきたいと思います。

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セルビアでワクチン接種にお支払い。その問題点とは?

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セルビアで3000ディナール(約25ユーロ)が支払うことについて、セルビアの大統領は「責任感のある行動をとった人への報償だ」と述べたそうです。

ですが、逆に考えた時に、はたしてお金につられてワクチンを接種することが、本当に責任感ある行動につながるのか?という疑問点も生じるわけです。

こちらの記事にも書いてありますが、「ワクチン接種をすればお金あげるよ~」という発信を、一部の人たちは、「逆にお金もらわないとやるべきではないくらい危険だったり、まだ効果が分かっていないものなの!?!?!?」という過剰反応を引き起こす可能性もあるわけです。

ただ、このような取り組みは実際にあまり例をみないもので、そもそも接種率を向上させる効果があるのかどうかすら微妙です。というより、今のところエビデンスはありません。

また、この金額が定額であることで、より貧しい人に対してワクチンをうけるメリットが相対的に大きくなる、ということも考えられます。
1億稼ぐ人は数千円で靡かないかもしれませんが、数千円で1週間家族を養える家族にとって、ワクチン接種は極めて魅力的に映るでしょう。このように、社会構造上、ワクチンを打つメリットがデメリットを上回りやすい人たちが一定数存在する可能性があり、その不平等さが生じることは倫理的に許されるのか、という問題もあります。

なので、こちらのランセットの記事は、今回の政策についてはかなり懐疑的なスタンスを取っています。結果として、セルビアの公衆衛生政策全般に影響を及ぼすことも懸念しているようです。

お金を配るだけにしても、なかなか一筋縄にはいかないんですね~。

結局、大切なのはなにか?

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ワクチンに関しては、連日報道されない日はないような状況が続いています。おそらく当面の間、このトレンドは続くことでしょう。とある医学生が論文を出していましたが、恐怖は社会を迅速に駆け巡ります。それを打破できる可能性があるワクチンが、また恐怖を生むことになるのであれば、ひたすらその恐怖が循環し続けるだけです。

結論としては、その負の連鎖を打ち切るような姿勢が必要になってきます。
正しい情報をどのように提供すればいいのか。
それが、情報を享受する人たちに、どうすればその人たちに利益がある形として伝わるように心がければいいのか。
このようなコミュニケーションを考える必要があるわけです。

お金に走ることは、それをすべて考えないで解決策に辿り着こうとするようなものであるといえます。
日本でもほとんどの人が昨年の10万円は受け取ったとのことですし、お金をくれるといってもらうのを嫌がる人はほとんどいないのでしょう。
だからこそ、それが失敗するとイメージはひたすら悪くなります。

私は今でも日本の公衆衛生は世界トップクラスだと思っています。
ですが、それを生かせるかどうかについては、国民次第であるとも思っています。医療は双方向であり、どちらも同じ目標に向かわない限りは成果は得られません。

私たちは今、自分がうける治療を選べる時代になりました。
それは予防という意味ではワクチンも同じです。
今まで、日本の医療の売りは、国民皆保険制度のおかげで、どこに行こうとも最高級の医療を受けられることでしたが、その受ける医療を自分で選択しなければいけない時代が来たのです。なので、最高級の医療を受けることができるかどうかは、正真正銘自分次第になってしまいました。

ワクチンをどう判断するかという問題は、結局のところ、今後どのような医療を自分たちが享受できるようになるのか、ということを考えるための1つの土台になる可能性を秘めているかもしれませんね。

医学部って、苦しいけど楽しい!

以上、マイルで旅する医学生「ちっぷ」(@aiueo_tips)がお送りしました!

まだまだ未熟だけど頑張るよ!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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